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ロックマンシリーズ女性向け二次創作
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【愛を計る機械達】
メタル→←エアー、ブルース
メタルの告白、エアーの困惑、ブルースの思惑。
ほぼエアーとブルース。




「お前が原因だろう」

話があると呼び出され招かれた彼の部屋で、開口一番そう言われブルースは苦笑するしかなかった。
あまりにも予想通りの展開で、ただあえて言うならば、少し呼ばれたのが早すぎるという事が計算と違った。昨日の今日だ。脳裏に浮んだ赤い機体の仕事の早さに呆れと少しの賞賛を送る。流石はあのせっかちの兄だ。

「おい、エアー。いきなりそんな事を言われても、なんの事かさっぱりなんだがな」
「しらじらしいぞ、ブルース。いきなり呼び出して現れておいて、今更だ」

理由など心当たりのありすぎるブルースだったが、いきなり呼び出された事への非難も込めて白を通してみれば、ばっさりと切り捨てられる。
普段どこで何をしているか分からず、呼び出したところで滅多に応えないブルースが、直ぐに応じた事、それがすべての答えだ。

その全身を使って威圧感を発するエアーマンに、ブルースは軽く肩を竦めた。
怒っている訳ではないのだろう。しかし咎めるような視線にそれに似た感情があった。
仕方が無いという風を装って、ブルースは口を開いた。今回は腹芸をしにきた訳ではない。まどろっこしい事は必要ない。
装ったのは、エアーマンと対する時のブルースの癖のようなものだ。意識しての他意はない。

「メタルに何か言われたか」
「やはり、お前か」
「まあ、な」

はあ、とこれ見よがしに大袈裟な溜め息を吐くエアーマンに、悪びれもせず部屋に来た時に渡されたお茶を啜った。
余計な事を、と呟く声は聞こえないふりをする。

「まさか、こんなに早く行動を起こすとは思わなかったけどな」
「無責任に煽るのは止めてくれ」
「・・・本当にそう思うのか?」
「すまん。失言だな」
「いや。俺の方こそ、悪かったな」

今回、ブルースは関わり通すつもりだ。だからこそ、呼び出しに即反応した。その意味を知っていながら見当違いに責められるのはおもしろくない。それに決して興味本位ではないのだ。彼なりに二人を想っての行動だった。それだけは勘違いして欲しくなかった。
咎めるような口調に、エアーマンは自らの非を認めた。その素直さに、ブルースも理由はなんであれ、勝手な事をしたことを詫びるのだった。

「終わった事は仕方が無い。どうせお前の事だ。メタルの為だったんだろう?」
「お前達、の為だよ」
「メタルの為ならまだしも・・・それは余計なお節介だぞ、ブルース」

何故と問うブルースにエアーマンは腹のプロペラを緩く回した。答えに窮しているのだろう。風とも言えぬような空気の流れがブルースの機体に触れ、消えていった。
答えに悩むということは、完全に無駄な行為とは思っていないはずだ。エアーマンは基本、物事にはっきりとした区別を付ける男だ。
ならば、とブルースは彼への思慕を問う。
少しの間を空けて諦めたように肯定の意をエアーマンは示した。

「だとしたら、問題は無いだろう」
「メタルにとってはな」
「何故?」

お前達はお互い思い合っている。それを確認出来ただろうに。
傍から見ていてそれは一目瞭然で、しかし同時にその感情の名を知らず、メタルマンが悩んでいるのもブルースは知っていた。
だから、相談を持ちかけられて答えたのだ。その感情の意味と名を。少し早いかと思ったが、相手がエアーマンならばなんの問題も無いだろう。そんな気持ちで彼はそれが「恋愛感情」であると告げた。
ブルースは今日の事は予想していた。しかしエアーマンがここまで頑なに自分の行為を咎めようとするのは予想外だった。

「何かあったのか?」
「お前の考えている通りの事だ。メタルに好きだと言われた。兄弟としてではなく、な」
「問題無いな」
「・・・受け入れられん、と答えたがな」
「何故?!」

ブルースは自分の聴覚センサーが拾った声を疑った。
あんな目で見て、あんな態度で接していながらそれを拒否するのか。
軽い困惑と怒りまじりに自分を見るブルースに、エアーマンは小さく溜め息を吐いた。カラリ、とほんの少しプロペラが動く。
彼は善意で自分達を想って行動した。それはエアーマンも理解していた。微かな好奇心や悪戯心もあったかもしてないが、それは愛情ゆえだ。
しかしそれで全てを許容出来るほど、自分の人格が出来ていないと知っている。
好きだったのだ。だからこそ。

「俺はその意味を自分で知って欲しかった」

自分で考え、調べ、そうして気付いて欲しかった。
形の無い感情を自分で形にして欲しかった。誰かに与えられた型に嵌めるのではなく、自分で創り上げて欲しかった。
だから、彼が悩んでいるのを知りながら、エアーは気付かぬふりをしつづけた。
その結果、どれだけ歪なものになろうとも受け入れるつもりだったのだ。

「ずっと待つつもりだったのか」
「そうだ」
「気付かないうちに心変わりしていたかもしれないぞ」
「そうだな。それでも、俺は受け入れつもりだった」
「他人に取られても良いと?」
「そうなったらそうなったで、それ相応の罰が下ったということだろう」

なにせ、酷い事をしているという自覚はある。
そう言って苦く笑うエアーマンの姿にブルースのコアはツキリと痛んだ。人の心を与えたライトを恨むのはこんな時だ。いっそ自分は人だと言えたなら、どれだけ楽だろうか。

「エアー。お前は馬鹿だな」
「お前に言われたくない」

ふ、と笑いあう。どちらも苦しげな笑顔だ。
ブルースは残ったお茶を飲み干し、立ち上がった。空になった湯のみをエアーマンに手渡し、礼を述べる。

「ブルース」
「なんだ?」

ドアに向かって歩き出す背に声がかかる。ブルースは振り返らず、足を止めた。

「恐らく、今日か明日、メタルから連絡があるだろう。受けてやってくれ」
「勿論、そのつもりだが・・・お前、何かやったのか?」
「少し、な。実は正確には、今のお前の言葉は受け入れられんと答えた。・・・その言葉の意味を自分で考えて確かめて欲しいと言った。誰かに気付かされてそうなったのでは無いのだと、そう言ってくれたならきっと俺は受け入れられる」
「お前・・・あれだけ態度で示されていても不安なのか」
「俺は存外臆病に出来ているらしい」
「メタルもややこしいのに惚れたもんだ」

ブルースは歩き出した。そして今度こそ、柔らかい笑みを浮かべる。
全く、不器用な弟達だ。そう一人ごちながら、ドアをくぐった。

「じゃあ、な。エアー」
「ああ、またな。ブルース」

タイミング良く、個人回線にメールが入った。どうやらまだこの研究所からは出ることは許されないらしい。
ブルールは緩んだ顔を引き締め、足早にメタルマンの部屋へと向かった。
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