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ロックマンシリーズ女性向け二次創作
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【恋人達の午後】
フラッシュとロール、ちょっとクイックとエレキ
友達、もしくは兄妹みたいなカップルのフラッシュとロール。ドライに見えて実はラブラブなクイックとエレキ。
なんの説明もなくDRNとDWNが仲良しです。

クイックとエレキの話を書くつもりが、気が付いたらフラッシュとロールメインになってました。





昼下がり。ドクターライトの研究所のリビングルームには4体のロボットが居た。

ほう、とロールは小さく息を吐いた。
どこかうっとりとした甘さを含んだそれに隣に座っているフラッシュマンが気付き、彼女の視線の先を追った。そこに居た者達の姿に、なるほどを納得する。
どうやら彼女もしっかりと年頃の娘らしい。ロボットの精神構造は予め設定された年齢と、稼動年数、そしてその外見が深く関わってくる。
たとえ彼女の稼動年数がフラッシュマンより長くとも、その少女らしい反応に外見年齢に沿った扱いをしてしまうのは致し方がないことだ。フラッシュマンはそう回路の中で呟いて、笑った。
子ども扱いするなと言うのならば、そのある意味卑怯な愛らしさを出すのは止めてもらいたいものだ。そうすれば変な罪悪感などあっさり捨てることが出来るのに。フラッシュマンは電子頭脳の奥でこっそりと不埒な事を考える。もちろん、表に出すことはしなかったが。

「カメラ持ってくれば良かったな」

内緒話をするように聴覚センサーに顔を近付け小声で囁くと、ロールは軽く驚いた様子でフラッシュマンを見上げた。
小さな悲鳴すら上げなかったのは、慣れと少しの安心感からだ。フラッシュマンは良くそういった悪戯を仕掛けロールを驚かしては、その反応を楽しんでいる。それが悪意の全く感じられないものだから、ロールもついつい許してしまう。
外見年齢がかなり高めに作られているフラッシュマンが、嬉しそうに笑うその顔はまるで少年のようで、口にした事はないがロールはとても好きなのだ。

「ちょっと、いきなりびっくりするじゃない」
「ぼうっと見とれてるからだよ」

軽い抗議の言葉に、にやりと笑って返されてロールは先ほどまでの自分を思い出した。むっと頬を膨らますも、赤くなってしまっているだろう。少し熱い。隠すように両手で頬を包み、軽くフラッシュマンを睨んだ。

「良いじゃない」

じろじろ見ないでよ、このスケベ。
睨みながら呟いた言葉に、フラッシュマンの笑みが深まる。ぽん、と頭の上に掌を置かれ、ロールは降参とばかりに座っていたソファに体を沈めた。

「その発想がアレよね」
「なんだよ。良いじゃねぇか。撮りたいものを撮って何が悪い」
「肖像権とか、そういうものがあるでしょう」
「綺麗に撮ってやるから良いんだよ」
「・・・お願いだから警察のお世話にならないでよね。今更だけど、世界征服で捕まるのと、盗撮で捕まるのは意味が違うから」
「そんなへまはしねぇよ」
「そういう問題でもないわよ。・・・でも、確かにちょっとそういうの撮りたいって気持ちは分かるわ」

良い被写体よね、あの二人。
ロールの視線の先には、彼女の弟とフラッシュマンの兄が居た。
先ほどから二人でそこに立っている。部屋にあるソファはまだまだ空きがあり、二人は何時だってそこに腰をかける事が出来るのだが、座る気配は全く無い。
何か話しているのだという事は分かるが、その内容まではロールとフラッシュマンに聞こえてこない距離だ。
二人は所謂恋人というやつだが、ロールの見る限りそこに甘い雰囲気はほとんど感じ取れない。だけれどもその容姿ゆえか、見ているとなんだかドキドキとしてくるのだ。

「だろ?あんまりああやって大人しく一緒にいるところは見ねぇからな。クイックは落ち着きねぇし、エレキはカメラを向けるとすぐにポーズ取りやがる」

ああやって自然な方が絶対良いのにな。
軽く愚痴るフラッシュマンに、ロールはそれは同意するわ、と頷いた。そしてただ、と笑って付け加えた。

「真面目な顔しているけど、絶対くだらないこと喋ってるわよね、アレ」
「だろうな。だからカメラは良いんだよ。ビデオじゃあイラねぇもんまで拾っちまうからな」
「顔が良いって得よね。騙される人たちが多いのも頷けるわ」

外見だけはほんと綺麗に出来ているんだから、あの二人。普段の会話をキャーキャー言っている子達に見せてやりたいわ。
可愛い顔できつい事を言うロールに、フラッシュマンは笑って頭に乗せていた掌を軽く叩いた。

「それは止めておけ。もっと厄介なもんを呼び込みかねないぞ」
「まあ、それもそうね」

二人の視線の先でクイックマンとエレキマンが笑った。お互いに向けられたそれはふんわりと柔らかく、その一瞬だけ甘い雰囲気を醸し出した。
すぐに消えてしまったが、それを見てしまったロールとフラッシュマンは顔を見合わせた。

「あー・・・折角のシャッターチャンスが・・・勿体ねぇ」
「私、あの二人付き合っているのにあんまりそういう雰囲気無くて、だからもうちょっとらしくしても良いんじゃないかな、って思っていたんだけど・・・それはそれで問題だったのね」
「十分だって事だな」

先にソファに沈んでいたロールに倣ってフラッシュマンも体重をかけた。二人分の重みを受けスプリングが軽く軋んだ。他の兄弟達に比べ二人共軽い機体なので、十分な柔らかさを持ってクッションは体を包む。

「なんか何もしていないのに疲れちゃったわ」
「そういうのを中てられたってんだ」

そうね、と頷き、ロールはほんの少し傾いた体を隣の機体に軽く預ける。するとずっと頭に乗せられていた手に少しの力が加わり、ほとんど触れていただけだった機体にすっかりと凭れかかる形になった。
見上げれば、笑うフラッシュマンの顔があった。それはとても優しくロールに向けられていて、嬉しい気持ちと気恥ずかしさで一杯になる。
馬鹿みたい、と呟いてそっぽと向くと、また軽く頭を叩かれる。

子ども扱いしないでよね、と言ったところで今の自分には説得力などないだろうとロールは目を瞑り思った。
造作の整った綺麗で格好良い顔は確かにとても見ていて良いものだけど、こっちの方が好きだと思うのはそれが自分に向けられているからだろうか。それとも惚れた弱味というやつかしら。
ロールは先ほどのフラッシュマンの表情を思い出し、そっと笑う。

その顔に、フラッシュマンがこれこそ勿体ねぇことをしたな、と思ったのだった。
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