忍者ブログ
ロックマンシリーズ女性向け二次創作
[1] [9] [15] [14] [13] [12] [11] [10] [8]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【for you】
メタルとエアーとブルース
DRN相手にどこか不器用なブルースと、呆れつつも相手しているメタルとエアー。





テーブルの上にごっちゃりと置かれた数々の品物。その種類は実に多岐に渡っていた。
メタルマンはその中のひとつを掲げ持ち、首をかしげる。

「おい、ブルース。これはなんだ?」
「・・・見れば分かるだろう」
「メタル。俺の記憶メモリに間違えが無ければ、その形態のボックスに入っているのはネックレスだな」
「やはりお前もそう見えるか、エアー」
「エアー、お前良く知っているな。メタルは知っているくせに聞くな」

顔を見合わせ笑いあう兄弟に、ブルースはそっぽを向き出されていた珈琲を飲んだ。ロボットにはあまり意味の無い嗜好品だが、その味と香りを楽しむのは嫌いではない。

「こんなもん誰に着けさせるつもりなんだ、お前は」
「メタル、お前が着けたらどうだ?案外ブルースはそのつもりかもしれんぞ」
「ありがたいが俺にその気は無い」
「だとさ。残念だな、ブルース。振られてしまったようだぞ」

兄弟の会話にブルースは居心地が悪くなってくる。しかしここで席を立っても二人がかりで引き止められるのは目に見えていた。下手に暴れて他のDWNを呼ばれれば益々立場は拙くなる。過去の経験がブルースをソファーに縛り付けていた。
慰みに出されていたクッキーをひとつ摘む。美味しいと感じるが、なぜだか妙に空しい。

「ならクイックあたりはどうだ。似合いそうだぞ。これはイヤリングだな。指輪だとサイズの問題があるからな。あいつだったら似合うんじゃないか」
「サイズはブルースにとって問題ないんじゃないか。まあ、クイックが嵌めれるサイズでは無いだろうがな。ヒートあたりなら合うかもしれん」
「お前ら、もう良い加減にしてくれ」
「そう言われてもな。折角貰った土産物だ。有効に活用する為にもお前の意見が必要だぞ」
「そうだぞ、ブルース。それに毎度の事ながら懲りないのはお前だ」

こんなもん貰ってもどうしようもないと、二人は手に明らかに女性用と思わしき物や、自分達では用途に困るものを持ち笑った。
二人は初めこそブルースの土産の内容に酷く驚いたものだが、もうすっかりと慣れた。毎回からかわれるのに一向に改めようとしないブルースは、実はマゾなんじゃないかと笑い話の良いネタになる始末だ。

これは何だろうか。これは誰にやろうか。これは誰が着けるか。
品物を手に取りながら品評会を行う兄弟に、ブルースは口を挟むのを諦めた。その様はほとんど無いはずの羞恥心をこれでもかと刺激してくれる。
毎回こうなると分かっていても、どうしようもないのだ。本当に渡したい者達の元へ持っていけない自分が悪い。そのくせついつい買ってしまう。
ブルースは出来る限り会話を聞かないようにしながら、もそもそとクッキーを食べ珈琲を飲み彼らが満足するのを待った。
いっそのこと、スリープモードに入りたかった。嵐は寝て過ぎるのを待つに限ると言うではないか。

すっかりふて腐れたブルースを横目にメタルマンとエアーマンは品物を仕分けしていった。
ありきたりな銘菓に、珍しい食品、美味しそうな有名店のお菓子。良くあるその場のノリで買って後悔するような置物。色々と使えそうな織物。お土産の定番ストラップ等々。
そしてどう考えてもサイズの合わない帽子や靴。兄弟の誰も着けないような装飾品。極めつけの女性用としか思えないアクセサリーの数々。
毎度その量もさることながら、内容が内容なのだ。明らかに誰の為に買ったか分かるような品物を、彼らの元へとブルースは持ってくる。
一部のそういった品を引き取るのを断ると彼は廃棄すると言い、実際帰りに捨ててしまった。慌てて拾って説教をして、結局引き取る事となったのは今では懐かしい話だ。
この程度の意趣返し、当然の事だと二人は思っている。
そしていつものやり取りが始まるのだ。

「なあ」

メタルマンがどこかの誰かに似合いそうな男性向けのブレスレットを手に取って、ブルースに話しかけた。口の中のクッキーを咀嚼していたブルースは、視線で続きを促す。

「いい加減、持って行ってやったらどうだ?」

ブルースは返事をせずに、珈琲を飲んだ。
エアーマンが柔らかく目を細め、腹部のファンを軽く回した。

「まあ良いだろう、メタル。ブルースも十分分かっているだろうしな」

もう何度も何度も同じ事を言った。それこそ耳に蛸が出来るほどだ。それでもブルースは懲りなかったのは、きっと選んでいる時や購入する時は渡す気でいるのだ。
異国の地でふと目に止まった物を見て、彼は誰を想像するのか。勿論、自分達DWNの為にと選ばれたものもあるが、それよりも彼が思い浮かべるのはあの可愛らしい外見とそれに反した驚くべき強さを持った兄妹だろう。また彼らと常に共にある弟達。たった一人の妹は特に可愛いのか、彼女の為のものが大半を占めている。
渡せない事を一番悔やんでいるのは、間違いなくブルース本人だ。

「ふう。まあな。しかしお前も難儀なヤツだな」
「ふん」

メタルマンがカップを手に仕方が無いなと笑う。
すっかりとカラになったカップをテーブルに置き、ブルースはそっぽを向いた。その頬が少し赤いのをメタルマンとエアーマンは見逃さなかった。
次こそは。そう思っているのはブルースだけでは無いのだ。





「また増えたな」
「トランクルームはまだ空きがあったか」
「ああ。まだ大丈夫だ」
「いつか全部纏めて突き返してやらねばな」
「きっといつか来るだろうさ。あいつがちゃんと渡したい相手に渡せる日がな」
「その時はレンタル料もしっかりと請求しないとな」

ブルースが帰った後、二人はテーブルに詰まれた品物を前にのんびりと笑い合った。
ほとんど完璧に近い兄の珍しい不器用な様に、どこか愛おしいとエアーマンは思い、メタルマンは少し安心するのだった。
PR
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
プロフィール
HN:
ヒフミ
性別:
女性
自己紹介:
無節操に色々と萌えます。
slow@slow.xii.jp

最新記事
ブログ内検索
アクセス解析
忍者ブログ [PR]