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ロックマンシリーズ女性向け二次創作
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【青い空と洗濯物と】
エアーとフラッシュ
屋上。青空と洗濯物とエアー。二人でお昼寝。

エアーが昼寝をしていたらきっと傍にナンバーズが寄ってくる。そして一緒に寝てると良い。
フラッシュはまず起こして相手に確かめてから一緒に寝るんだけど、クイックは猫みたいに初めは遠巻きに眺めて周りをうろうろして、エアーが起きないのをしっかり確認してからそろそろと近付いて胡坐に上にごろんて寝転がるんじゃないかな。エアーは実は起きているんだけど、クイックが来るのを黙って待ってる。で、来たら内心で笑っていると良いよ。






良い天気だ。洗濯物もすぐに乾くだろう。

うららかな昼下がり、微かにそよぐ風を受けエアーマンは屋上にいた。彼の前には大量の色取り取りの布がはためき、いっそ壮観なほどだ。
ここ数日雨続きだった為、溜め込まれていた洗濯物を一気にやっつけた。何度洗濯機を動かし、屋上と水場を往復しただろうか。その苦労に報いるような光景に、エアーマンは満足気に頷いた。
朝から取り組んでいたが、時刻はすっかりと昼を過ぎた頃になっている。少しばかり腹がすいた気がするが、エアーマンはなんとなくエネルギー摂取を行う気になれず、屋上の四方を囲む低い壁の一角に腰をかけた。

影になったコンクリートの壁と床の冷たさ、そして湿度の低い陽気が心地良い。時折、そよと吹く風がまた格別だ。
エネルギーは夜まで取らなくともよほどの事がない限り十分な量が蓄えられている。今日は幸い、煩く言う者もいない。
エアーマンは本日の戦果をしばらく眺めた。青い空、白い雲、はためく色取り取りの洗濯物、灰色のコンクリート。戦闘型として生み出されたはずの自分だが、こういうのも悪くないと思う。些か滑稽な話ではあるが、生みの親であるワイリーがこの状態を喜びこそすれ、厭っていないのだから問題は無い。
エアーマンには口が無いが、今の彼を兄弟が見ればきっと笑っているのだと気付いただろう。

ああ、良い天気だ。今日は面倒を起こす騒がしい連中もいない。静かで穏かな日だ。
エアーマンは腹のファンをカラリと一回転させ、ゆっくりと瞼を閉じた。瞼に覆われた水晶体はしばらく真っ暗な世界を映していたが、視覚システムを切ると闇すら映さなくなった。そして徐々にあらゆる機能をスリープ状態に移行させていく。ただ索敵センサーだけは通常モードで残しておく。
人間のいう睡眠状態に入ったエアーマンの体はすっかり力が抜けた状態であるが、彼の体勢は全く変わらなかった。胡坐をかき、壁に背を預けているとはいえピンと背筋は伸ばされている。
実態はただの昼寝で有るがそうは見えず、穏かな光景の中どことなく浮いていた。




しばらくして屋上に来訪者が現れた。

カメラに片手に持ったフラッシュマンは、大量にはためく洗濯物に驚き、僅かな死角で眠る兄に気付きもう一度驚いた。そして笑う。常の意地の悪さはなく、柔らかに目元と口元を綻ばせると、持っていたカメラを構え、ファインダー越しに兄を見る。切り取られたフレームの中、青い空と白い雲、青い兄と灰色のコンクリートが良い感じで収まっている。口元を緩め、カシャリとシャッターを切る。それなりの距離があった為か、兄は起きずに眠ったままだ。それに気を良くしたフラッシュマンは移動し、様々な角度から眠る兄を写した。特に意味もなく、ただなんとなく屋上へと来たがついている。ついでとばかりに、大量の洗濯物も何枚かフレームに収めておいた。

そうしてようやくフラッシュマンは満足したのか、カメラを構えるのをやめた。首にかけ、そろりと注意を払って兄に近付く。やはり起きる様子はなく、フラッシュマンはもう一度カメラを構え至近距離でシャッターを切った。とたん、兄の瞼がぱちりと開かれた。

「よっ」
「フラッシュか・・・そのカメラまさか」
「気持ち良さそうに寝てたからな」
「勝手に撮るなとあれほど言っただろう」
「寝顔なんて許可貰って撮れねぇじゃん」
「まあまあ良いじゃねぇか」

寝起きだと言うのにまったくそれを感じさせない様子で、渋い顔をするエアーマンにフラッシュマンは笑いかけ、その隣に腰をかけた。意図的にエアーマンに寄り掛かり瞼を閉じる。

「良い天気だな」
「まったく・・・お前と言うヤツは。しかしそうだな、良い天気だ。洗濯物も良く乾く」
「煩いのはいねぇしな」
「そうだな。偶には静かで良いものだ」
「・・・ああ。偶には、な」
「メタルとクラッシュとヒートは遠出の買い物。クイックはデート。まあ、見事に騒がしい連中ばかりいないものだな・・・フラッシュ?・・・寝たのか。お前も忙しいヤツだからな」

エアーマンが掛かる重みが増したことで隣の弟を見ると、彼は何時の間にかすっかりと寝入っているようだった。普段はふけ顔を評される大人びた顔立ちも寝ていればどこか幼い。
柔らかく目を細め、エアーマンは軽く彼の頭を撫でた。そうして自分も瞼を閉じる。まだ時間はある。もう少しここでゆっくりしていてもバチは当たるまい。
疲れているだろう弟起こしたくないしな、と誰に対してか分からないような言い訳を小さく零し、エアーマンは再びスリープモードへと移行していった。



「おい、フラッシュ」

呼びかける声でスリープモードを解除したフラッシュマンは、自分の前に立つエアーマンを見上げた。そして周りを見る。来た頃よりずっと太陽が傾いている。
何時だろうと体内時計で確認すると、16時を示していた。結構寝ていたらしい。

「あー良く寝た」
「疲れているならしっかり夜に休んでおけ」

あまり寝ていない事は兄にすっかりお見通しらしい。フラッシュマンは肩を竦め、善処すると笑う。
まったくと本日何度目分からないセリフを口にし、エアーマンはドアに向かって歩き出した。その後をフラッシュマンが追う。
そういえば、と周囲を見渡すとあれだけあった洗濯物が綺麗さっぱり無くなっている。すっかり取り込んで、エアーマンが手に持つもので最後なのだろう。
のしのしと歩く背を見ながらフラッシュマンは肩を竦めた。取り入れくらい手伝おうと思っていたのだが、やってしまったようだ。今更あの洗濯物を持つと言うのもなんだか気恥ずかしい。
まあ終わった事は仕方が無いか、エアーマンも気にしていないみたいだし、とフラッシュマンは考えを切り替えドアを潜り抜ける。
今日は穏かな良い一日だった。うん、と伸びをしてフラッシュマンは軽やかに階段を下りていった。
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