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ロックマンシリーズ女性向け二次創作
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【後朝の】
クイックとエレキ
恋人の朝。
題名からして事後の朝ですが、しっとりというよりさっぱりな二人。でもラブラブ。





スリープモードから通常起動モードへと移行していく感覚がクイックマンは好きだ。
穏かだったエネルギーの流れが勢いを増し、爪先にまで満ちていくその感覚。弛緩していた人工筋肉が緊張を取り戻す。体のあちらこちらで駆動系のシステムが目覚め、命令を待ち焦れるかのように低く唸る起動音。そして徐々にクリアなっていく各種センサー。視覚システムに埋め込まれた水晶体が外界を写し、聴覚センサーが音を拾う。
自分という存在が確かなものであると、そうはっきりと確認出来る瞬間だ。


そうして今日も定刻にクイックマンは目覚めた。午前5時。
一般的な人の活動時間より早く、周りは静かでカーテンから差し込む光は柔らかだ。それでも、既に活動している人もロボットもいる事をクイックマンは知っている。静かだが、決して無音ではないのだ。

クリアになってきた視覚に映る天井に、動き出した電子頭脳が軽いエラーを出した。いつもと違うそれに、クイックマンはああ、と寝転がったまま隣を見た。
恐らくは自分も同じような姿で寝ていたのだろう、そこには真っ直ぐな姿勢で上を向きスリープ状態に入っているエレキマンの姿があった。抱き合って寝ていたはずなのに、結局お互い何時もの様な寝姿に落ち着いたのだろう。偶に額を合わせる距離で目覚める事もあるが、大抵はこうなる自分達にクイックマンは少しだけ呆れる。

寂しいと思うのは自分勝手だろうか。
そんな事を思いながら、クイックマンは日課を行う為に体を起こした。
彼にしては静かな所作で、起こさないように注意を払ったものだったのだが、相手がエレキマンではそうもいかない。

「もう、そんな時間か」
「起こしたか」
「まあな」

起動してすぐににやりと笑うエレキマンにクイックマンは軽く舌を打った。
初めこそ相手への気遣いだったのだが、何時の間にかいかにして悟られずに行動できるかというものに変わっていった。その機能性能ゆえに気配に敏感なエレキマンを起こさず、寝台から抜け出し部屋を出る。もはや、クイックマンにとって勝負や戦いの一種なのだ。連戦連敗である事が、彼の闘争心に拍車をかけている。
だけれども、ただそういった闘争心だけかというとそれは違った。そこには確かにクイックマンのエレキマンに対する気遣いがあった。
それをエレキマンも分かっているのだろう。挑発するような態度を取るも、目元や口調は柔らかいものだった。つい起きてしまうのは、彼もまた負けず嫌いなところがあるからだ。

「全く。大人しく寝ておけよ。お前今日も仕事だろう」
「おや、良く知っているね」
「仕事じゃない日の方が珍しいからな。じゃあな」
「クイック」

だから適当に言っただけだと言い、部屋を出るべくドアに向かうクイックマンをエレキマンは呼び止めた。なんだと振り向くと何時の間にか寝台から体を起こし、立ち上がっていたエレキマンが笑っていた。

「待ってくれ。私も一緒に行く」
「珍しいな」
「偶にはね。二度寝をする気にもなれないし、早朝から体を動かすのも良いだろう」

なにせ、昨日の事で体のあちこちが軋むし。
エレキマンがやれやれと肩を回しながら歩き出す。
お互い様だろう、と言ってやろうかと思ったがクイックマンは止めて、彼が隣に来るのを待った。所詮、部屋の中の出来事だ。すぐに距離は近付いた。
手を伸ばせば肩に届き、力を入れて引き寄せれば鼻も触れる距離になる。軽く唇を合わせ、手を離す。

「折角だからランニングだけでなく、トレーニングも付き合え」
「あまり時間は割けませんよ」
「かまわん」

クイックマンが手を離してもエレキマンはその位置からどかず、二人は至近距離で会話を交わした。内容は甘いものでなく、器用に細められた目は剣呑な光を放っている。
そんな状態のまま、今度はエレキマンがクイックマンの唇を奪う。軽く舌を絡ませ、それはすぐに離れた。

「私はこの後、仕事だということを忘れないでくださいね」
「善処しよう」

ほんとですかね、と笑うエレキマンに、多分とクイックマンも笑って答え、二人はそろって部屋を出て行った。
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自己紹介:
無節操に色々と萌えます。
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